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ディスレクシアとは

・ディスレクシアとはどのような子どもたちでしょうか?
・幼児期から青年期まで、ディスレクシアにはどのような困難があるのでしょうか?
・ディスレクシアの定義や診断基準はどのようなものでしょうか?
・学校や家庭でどのような指導・支援が必要とされるのでしょうか?

【障害ということば】
 まず、定義や状況を語るとき、どうしても「障害」ということばを使わざるを得ません。従来、医療関係では、うまくいかないことを「障害」と慣習的に表現してきたからです。例をあげると、「骨折の結果、肘の関節に障害が残った」というような表現をします。
「障害」ということばは、当事者にとってはいやな言葉かも知れません。「害」という表記は、害毒を及ぼしているわけではないということから、「がい」と書くこともひろまってきています。「障害」とは英語のdisorderの訳ですが、軽微な病気や不調というような意味ですし、 impairment は「損傷」というような意味合いがあります。このように、適切な日本語がないので、ここでは、慣習的な「障害」という表現を使います。皆さんが納得できて分かりやすい用語ができましたら、変えていく予定です。

 

【対象とする子どもや青年】
本協会は、子どもの発達障害のひとつ、学習障害のうち、読みにつまずきがある結果書くことにも困難さがある子どもや、成長して青年になった方(まだ専門家の見守りが必要な方)、を主な対象としています。高次脳機能障害の成人(交通事故や脳血管障害などの結果、失読症となった方)は含みませんが、子どもの場合は、当協会のサービスの利用が望ましい場合はご利用可能です。

 

【幼児期から青年期の読み書き等の状況】
本協会で対象とするディスレクシアとは、通常、会話(話し言葉の理解や表現)は普通にでき、知的にも標準域にありながら、文字情報の処理(読み書き)がうまくいかない状態を指します。
彼らは、幼児期、文字に関心がなかったり、絵本の読み聞かせは好きなのに自分では読もうとしなかったり、という傾向があります。そして、就学期では、文字が覚えられず、たどたどしい読み方が続き、読み飛ばしや勝手読みが多く、話せば理解できるのに自分で読んで文字から理解することが難しい状況を示します。全く読めないわけではなく、読むスピードがとても遅く、間違いも多いため、学年レベルの文章の読みにつまずき、書くこと、とくに、特殊音節(小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」のようにつまる音や「こう」「よう」のようにのばす音など)の読み誤りが目立ちます。また、漢字では、次に来る文字によって読みも書きも異なるため、読み書きが難しくなります。
高学年になると、漢字の種類も多くなり、難しい言葉も増え、文章も長くなり、読むべき文章の量も半端ではなくなります。また、アルファベットは、日本語と違って、音も多く文字と音とが一致しない単語が多いため、英語の学習が加わると読みはとても難しくなります。彼らは、努力してもうまくいかず、知的能力が高いと怠けているからだと判断され、つらくなり、無気力になる場合もあります。さらに、初めて見る文章は読みが難しいことと書くことにも困難さがあるために、テストでは良い点が取れず、進学が難しくなります。
不登校のお子さんの中には、ディスレクシア児も多いと言われています。最近、新聞で見かけるiPadなどによる指導は、中高生には良いかもしれませんし、ひとつの方法として効果もあると思います。しかし、ディスレクシア児がもつ、根本的な治療教育とは言い難い側面があります。原因のひとつである、音韻操作の困難さに対処した指導法ではないからです。少なくとも、小学校のうちは、文字と音との対応、音韻操作に関する指導、語の区切り、語彙指導、思考力を支援する指導などが大切です。無論、ICT活用も根本的な指導に変わっていく可能性はありますが。
日本では、ディスレクシアの認知という面で、海外、特に英語圏から大きく遅れています。しかし、最近、大学入試センターの受験に際して、発達障害、特にディスレクシアについても申告が認められれば、試験時間の延長、試験問題の拡大コピー、その他の支援が得られるようになりました。中学や高校受験に際しても支援が得られて当然ですが、現在では、中学、高校側の理解は得られていないのが実情です。
海外では、就労に際しても支援があるようですが、わが国では、各地に設置されている、発達障害者支援センターでの理解も対応もほとんどありません。これから当協会が頑張っていかなくてはならないことは多々あります。

 

【ディスレクシアの定義と診断基準】
ディスレクシアの定義としては、当協会では、国際ディスレクシア協会International Dyslexia Association (通称、IDA http://www.interdys.org ) の定義(2003年)を使用していきます。箇条書きで要点を記載します。
*神経生物学的要因による特異的学習障害である
*知的能力や教育に見合わない読みの困難さがある
*単語認識の不正確さ・流暢性の困難さがある
(注:文の中の単語が識別できず、区切りが分らない、単語の読みが遅く、間違いが多いため、すらすら読めない状態)
*デコーディング能力の障害がみられる
(注:文字や文字列を音声に変える作業が遅く、間違いが多い。例:「た」という文字を見て「ta」と発音するなど、文字と音声との対応作業が困難なこと。)
*綴り(書字)の弱さも併存する
*これらのことは音韻認識の障害の結果として生ずる
(注:人間は周囲にある様々な音の中から、ことばを聞き取り、意味を理解していきます。話しことばの中にある音韻を認識または意識し、分節したり、記憶したり、操作が出来るようにならないと、デコーディングの作業が難しくなります。4~5歳で発達し始めると言われています。)

医学の診断基準では、ディスレクシアという診断名は使われていません。読みに困難をきたす診断名としては、下記のものがあります。

  1. 米国精神医学会の診断基準DSM-5 (2013)

    特異的学習障害Specific Learning Disorderのうち、読み障害を伴う場合として下記の項目があげられています。更に標準化された検査を用いて、重症度も記載することになっています。ディスレクシアという用語も代替用語として認めています。
    *単語の読みの正確さの障害Impairment
    *読み速度と流暢性の障害Impairment
    *読解の障害Impairment

  2. WHO(世界保健機構)の診断基準ICD-10(2,3年後改定予定)
    特異的読字障害Specific Reading Disorder
    *読みの到達度が知能・年齢・教育からの期待値より低い
    *読みの理解力、読みによる単語認知、デコーディングに困難さが見られる
    *読みを必要とする課題の困難さ、綴字(書字)障害の併存、言語の遅れの既往があることもある。

【ディスレクシアの指導と支援】
ディスレクシアの場合は、他の認知発達の特徴による読み書きのつまずきとは異なる対処や指導が必要です。早期に対処するために、本協会では、教育場面でも簡単に使える簡易スクリーニング検査ELC(Easy Literacy Check)を開発しています。
また、ディスレクシアは、ADHD(注意欠陥多動性障害)や自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群など)にも併存していることがありますし、算数のLDが併存していることもよくあります。行動面や対人面のみをケアするのでなく、ディスレクシアが併存している場合は、並行してディスレクシアへの対処を考えなくてはなりません。

 

【家庭でできる支援】
家庭での対応(家庭でできること)を以下に述べておきます。

  1. 読ませる前に、保護者が目的の文章を本人に読み聞かせる。聞いた内容が分かったかどうか確認する。
  2. 分からない言葉を絵やことばで説明する。
  3. もう一度読み聞かせをする。
  4. 漢字に鉛筆で振り仮名を振る。
  5. 語の区切りを鉛筆で斜線を引く。
  6. 短い文を本人に音読させる。
  7. できたら、振り仮名や斜線を消す。
  8. 来週学習する教科書の読み聞かせをしておく。
  9. 実際の生活で必要な単語や興味がある単語の読みを練習する。よく知っていて読める単語を書く練習をする。(読み書きへの拒否感が強い場合はやめておく)
  10. 学校では、想像以上のストレスを抱えているので、家ではリラックスできることやスポーツ、絵、音楽など好きなことをする時間が必要。

 

高学年になったらパソコンやiPadなどのIT機器の活用も良いと思います。英語は会話を中心にしていくこともひとつです。
学校の先生には、突然、皆の前で音読させないようにお願いしておきましょう。もしやらなければならない場合には、事前に読む箇所を教えてもらい、家で練習していくと良いかもしれません。通級指導教室や取出し授業のサービスを受けたりするときには、家でできないところをお願いしたり、当協会と連携して指導を行っていけると良いと思います。

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